「あら、3人おそろいで何してるの?」
通りの方から声をかけられて顔を上げると、そこにクレアが立っていた。決して派手ではないがつくりが丁寧なドレスを見れば、すぐに高貴な家の出であることがわかる。
首には高価そうな上品なネックレスがかけられており、シックなデザインのドレスがそれを引き立てている。ゆるくウェーブのかかった金髪は背中にかかるくらい長く、大きな
意志の強そうな目でこちらを見ていた。クレアとは父親同士が知り合いで、クレア自身とは1年ほど前に知り合った。年はひとつ下の14歳だが、臆することなく俺たちに
話しかけてくる。
「クレアじゃん。ひとりで出歩いて大丈夫なの?」
マイクが声をかけるとクレアはにっこりと笑って、
「ここまで来るのにお供なんていらないわよ。いちいち口うるさくって邪魔なんだもの。で、3人で何のお話?」
「義賊のキース、ってクレアちゃん知ってる?」
ウィルが聞くとクレアがうなずいて
「知ってるわ。それがどうかしたの?」
「最近はこっちの方じゃなくて、遠国で活躍してるって噂なんだよ」
「へぇ、そうなんだ。たしかに最近こっちじゃ話聞かないものね」
その噂なら俺も知っていた。5年前この街を去ってから、キースは遠国に移動しそこで盗みを働いているらしい。その国でも民に英雄として崇められているのだろうか。
「あ、そうそう。私、リックを探しに来たのよ。話しこんでる場合じゃなかったわ」
「俺を?」
「ええ。お父様と一緒におじさまの家に遊びに来たんだけど、タナハさんがリックを探してるって言うから、私が散歩がてら呼びにね」
「なんだ?パーティーの準備ならもう…」
とっくに済んでいるはずだ。前日まではこれといってすることもないはずだが。
「衣装の合わせをもう一度したいみたいよ。少し装飾を足してみたからバランス見たいって」
「…面倒くさいな」
「行ってあげなさいよ。タナハさんいいパーティーにしようって張り切ってるみたいよ」
それはわかるのだが、どうにもその張り切りが空回りしているような気がする。相変わらず俺を「坊ちゃん」呼ばわりするのもどうにかしてほしいものだが。
「しょうがない。行くよ」
「マイクとウィルもパーティーには来るでしょ?また3日後に会いましょう」
「悪いな来てすぐに。それじゃまた」
俺はクレアと共に屋敷へと向かった。
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