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茜空。夕焼けは子供達と一緒に帰っていく。 あの時の世界もこんな風に、美しかっただろうか? この世界の調整を受け持つ世界。その名は『中界』。 その世界の主――“あの御方”が自ら定めた名だった。 いつでも中間に立ち、公平な目で世界を見よう。そこは、自ら死した者が働く場。 (それにしても……) 今日で三日目。 (私は馬鹿だ) トウゴの答えがどうであれ、魂を『あの場所』に連れて行くことが私の仕事なのに。 これだからいつまで経っても出世できずに正式な名前さえもらえずにいるんだろう。 「行く、か」 もし、今トウゴと同じ選択が与えられていたなら――その考えに蓋をして、空を一蹴りした。 「僕は生きたい」 「そうか……」 安堵する胸からそっと息を吐いた。ひさしぶりの気持ちだった。 「ただ、一つ言わなかったことがあるんだ」 「何?」 心なしか元気なく笑うトウゴにためらいつつ私は口を開いた。 「可能性は50%なんだ。つまり、成功する可能性は2分の1ってことだ」 それはどうにもならない数値であり、世界で定められた公平なる数値だった。 そう簡単に人の運命を操ることはできない、ということなのだろう。 「それでもいいか」 「大丈夫だよ」 トウゴの目には小さくても強い光があった。 「このままいけば僕が生きれる可能性なんて1%もあったものじゃない。 だったら50%なんて大歓迎だよ。今の僕に恐いものなんてない」 「……わかった」 その時、病室の扉がいきなり開いたかと思うと、数人の看護婦が大急ぎで入ってきた。 「十吾くん、大丈夫?!」 「すぐ手術が始まるからね」 私の姿など見えていない看護婦が必死にトウゴに話しかけている。 何が起こっているんだ? 「僕の体には腫瘍ができたんだよね」 トウゴが私をちらりと見て一人の看護婦にたたみかけた。 「そうよ、すぐに取り除いてもらえるからね。嘔吐と下痢なんてすぐどっか行くからね」 トウゴは小さく笑った。 「僕はズルい子だから。どんな手を使ってでも生き残ってみせる」 「もちろん。絶対十吾くんは生き残れるわよ」 担架に乗せられたトウゴはそのまま連れて行かれた。 ―――トウゴ――――! その瞬間、私達は飛んだ。 NEXT