「君、女の子だよね」
「――は?」
一言目は少なくともすんな言葉想像してなかったからだ。
「ああ、ごめん。つい……」
目を細める彼に目を丸くする私。
普通は逆なのに。
「ただ、女の子ってもっと可愛らしく喋るものだと思ってたから。
あ、これも僕の幻想だね。あんまり人と話す行為もしたことないから」
「お前、学校には――」
「僕みたいな奴、行っても嫌がられるだけだからね」
しゃくにさわる。
怯えも、怒りも感じていないような話し方が、やくにむかついた。
「ふうん……」
曖昧に返事を返しつつ理由――『死の理由』――は何だろうと模索する。
やはり病気が原因なのだろうか、いや、それとも―…
「ところで君さ、」
またか。
「私は女でも男でもないっ!」
「…えっ?え、つまり、女でも男でもないって……」
ここまできて目を丸くするトウゴ。
段々イライラしてきた。
「違う。少なくともお前の想像するようなものじゃない。女でも男でも関係のない――」
一瞬逡巡してから、
「職ってことだ」
「あ、そう」
しかもこいつ反応薄い!
「そうそう、そんなことどうでもよくて」
「……」
「君、何者?」
あ、なるほど。
「ったく、それが聞きたいならはじめからそう言え」
「うん?でも言おうとしたところで君に遮られたんだけどね?」
「……じゃあ私が何者か聞いても取り乱すなよ」
「待って」
いちいち何なんだこの男は。
「まずはじめに、僕が当ててみせてもいい?」
「別にいいけど」
しょうがない、少し付き合ってやろう。
「天使」
「――は?」
「君、天使じゃないの?僕に気づかれずにここへ入ってこれるなんてよっぽど神聖な生き物でしょ」
さっきよりも柔和な笑顔でそんなこと言われたら困ってしまう。
ほんとに、そう信じてるみたいな。
「わた…しは、天使なんかじゃない」
天使になんてなれない。
「わたしは――」
「死神だ」
病を持つ者にとってその言葉はどんな存在か―…
「おい、お前……って、おい!
人が視線そらした隙に何してんだ!」
「何って……今から死ぬんだよ」
そこにあったのはさっきまでベッドにいたはすのトウゴの、窓の桟に足をかけている光景。
「どうせ魂取られちゃうんだったら自分から死ぬほうがいい」
……なるほど。この男の性格が垣間見えた気がする。
「お前なぁ、人の話は最後まで聞け」
「人じゃないんじゃん」
「いいから。私はお前を殺すためにここへ来たんじゃない」
意味がわからないというようにトウゴの鼻がひくつく。
「私が嘘をついてるように見えるか?」
「うん」
「……」
「だって、」
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